Sanderling
(Calidris alba)
ミユビシギは砂浜海岸に住む。小型のシギ、ハマシギとほぼ同じ大きさ。日本では旅鳥あるいは冬鳥であり、集団で行動している場合が多い。採餌方法は他のシギとは異なり、波打ち際を走りまわり、打ち上げられるヨコエビなどの小動物を採食している。
分布
ミユビシギはほぼ周北的に分布する。おもな繁殖地はグリーンランドと、ロシア北極海沿岸のタイミル半島付近のツンドラ地帯である。繁殖期の詳しい状況は知られていない。越冬地まで長大な渡りをする。いくつかの飛行ルートが知られている。全世界での生息数は300,000 羽と推定されている。東アジア飛行ルートを通るミユビシギは22,000 羽とされていて、冬は主としてオーストラリアで越冬する。
日本では主に秋に2,500 羽から4,900 羽程度が観察される。中国や朝鮮半島での生息状況は明らかではないが、韓国では干潟など海岸の大規模な埋め立てがあり、生息状況が悪化していると考えられる。日本での主な渡来地は千葉県九十九里浜で、2000 羽程度が観察されている。
県内での生息
ミユビシギは夏の一時期全く見られなくなるが、8月後半から赤茶色の夏羽の混じった個体が飛来し、そのまま、渡り去るか、あるいは越冬する。三重県津市の海岸、町屋浦、豊津浦周辺では本格的な観測を始めた2002年からはほぼ毎年このルートの推定生息数の1%である220羽を越えた飛来数を記録している。シギ・チドリでは生息数の1%を超える個体が飛来する場所は重要な生息地として保護すべきとされている。
オーストラリアのAustralasian Wader Studies Group (AWSG)ではシギ・チドリにフラッグを付け、渡りを解析しているが、このフラッグ付きのミユビシギも津市の海岸でしばしば観察されており、オーストラリアで越冬した個体が飛来していることは確実である。
環境省は、豊津浦・町屋浦をラムサール条約登録湿地の候補地としたが、その根拠のひとつはミユビシギの飛来数である。ミユビシギは津、松阪周辺の砂浜海岸ではよく見られる。