三重県には多くの鳥が生息、繁殖している。以下に挙げた鳥はその中でも当会が鳥類の保護上特に重要と考えている鳥である。この中には全国的に減少している鳥類や、生息地が限られる鳥類も含まれている。また、三重県での生息がその種の日本における生息に特に重要と考えられる鳥も含まれている。当会ではこれらの鳥に注目し、種によっては調査活動を行っている。しかしながら、必要な保護活動が行われているとは限らない。
三重県の海岸に通年生息する小型のチドリ、県の鳥にも指定されている。分布は広く、ユーラシア大陸北部、北米に生息する。冬には集団になることが多い。春から夏にかけて海岸の砂地、まばらに植生のある場所に卵を産み、ヒナを育てる。コアジサシがコロニーを作り、営巣する場合にはその中に混じって営巣する場合もある。
ミユビシギは砂浜海岸に住む。小型のシギ、ハマシギとほぼ同じ大きさ。日本では旅鳥あるいは冬鳥であり、集団で行動している場合が多い。採餌方法は他のシギとは異なり、波打ち際を走りまわり、打ち上げられるヨコエビなどの小動物を採食している。
ミヤコドリは白と黒の大型のシギ・チドリの仲間で、海岸、干潟に生息し、主に二枚貝を捕食する。くちばしは縦に扁平で二枚貝の隙間にくちばしを差し込み、食べる。
セイタカシギはユーラシア、アフリカ、大洋州、南北アメリカの温帯、及び熱帯地方に生息する。渡りをする個体群も多いが、日本では周年生息し、環境省のシギ・チドリモニタリング調査の最大数を合計から推定すると全国で140羽から400羽程度が生息するであろう。
小型のカモメで、ユリカモメによく似ているが、やや小さく、くちばしは黒い。また、翼の羽色のパターンも異なる。ユリカモメとは異なり、主に干潟で採餌する。
チュウヒは中型で細身のタカであり、足が長い。森林へは入らず、葦原を採餌、繁殖の場所としている。ヨーロッパなどユーラシア大陸西部に棲む種Western Marsh Harrier と以前は同種、別亜種とされていたが、現在は別種とされている。本種はバイカル湖以東に生息する。餌は小鳥類やねずみなどの陸上小動物である。冬は南へ渡り、越冬する。
本種は日本、韓国の離島で繁殖するウミスズメの一種である。ウミスズメとはほぼ同じ大きさであるが、換羽が顕著であり、頭部の白黒のパターンが異なることで識別できる。
大型のワシで、陸上の動物を捕食する山ワシである。主に草原で繁殖し、採餌する。新旧の大陸の温帯に広く分布し、いくつかの亜種に分類されている。
クマタカは大型の猛禽で山地に棲み、ウサギ、ヤマドリ、ヘビなどを捕食する。イヌワシと異なり、南方系の鳥で、インド、ネパール、インドシナ半島、台湾にも生息する。各地の山地に生息し、広いなわばりをもち、繁殖する。繁殖は通常1年置きであり、幼鳥は1年以上親鳥と共に繁殖地周辺で行動する。イヌワシと異なり、林内で狩りをすることができる。急斜面の大木に営巣することが多い。
オオハシシギは海岸に近い淡水のあるいは汽水の湿地で越冬するシギであり、開けた干潟や海岸で見ることはほとんどない。集団にはならず、単独あるいは数羽で観察されることが多い。近縁のシベリアオオハシシギとの識別は足の色などで識別できるが、注意を要する。日本ではオオハシシギの方がはるかに多い。