三重県には多くのため池がある。大河がなく、雪の量も少ないため、稲作のため、たくさんのため池が作られた。 多くの鳥が棲息するが、近年の改修工事で鳥類の棲息環境が悪化した池もある。
ため池の鳥相
冬にはこれらのため池に多くのカモが訪れる。マガモ、コガモ、カルガモが多いが、海ガモと呼ばれるキンクロハジロやホシハジロも内陸の池でよく見られる。ミコアイサも各地で見られる。また、カワウ、オオバンも、さらに、カンムリカイツブリも数は多くないが見られる。夏のため池ではカイツブリが繁殖する。カワセミも繁殖する場所もある。ため池に隣接した林がカワウやサギ類のコロニーになっている場所もいくつかある。ため池とそれに隣接した水際の茂み、随伴する林が一体となって、生物多様性の場となっている。
近年変化のため池
ため池は江戸時代に人力で作られたものが多く、土堤は灌木を伴い、また、上流部は水深が浅く、葦などが生い茂り、鳥が隠れたり、採餌するのに適した環境を伴っていた。しかし、近年ため池の改修工事が進み、水際のヤブや葦原が取り払われ、堤防にはコンクリートが張られ、カモ類が休める水辺が少なくなった池も多い。また、一部ではあるが太陽光発電用のパネルが浮かべられた池もある。近年カイツブリが少なくなった。特に夏の繁殖期にはほとんど見ない。ブラックバスによるヒナの捕食が影響している可能性がある。ブラックバスは県内のほとんどのため池に棲息しており、その駆除はあまり進んでいない。
ため池の生物多様性を後世に残したいものである。