Hooded Crane

(Grus monacha)

nabezuru

東アジアに生息するやや小型のツル。鹿児島県出水市では世界の生息数(14,000~16,000羽)の80%ないし90%が越冬する。鳥インフルエンザなどの疾病が発生すれば重大な被害を受ける可能性が高く、越冬地の分散が望まれている。2021-2022年、三重県内で48羽が越冬し、新たな越冬地となる可能性がある。


ナベヅルとは

体は黒褐色、首は白く。前頭部に赤い裸出部がある。トカゲやカエルなどの動物や草の葉、根、穀粒など何でも食べる雑食性である。環境省レッドリストでVUとされている。


繁殖

ナベヅル東アジアのみに生息し、ヨーロッパや北アメリカには生息しない。繁殖についてはもっとも知られていない種である。繁殖地は、ユーラシア大陸東部である。レナ川流域の北緯66度以南の、湿地に分散して繁殖しており、繁殖状況の詳細は不明である(図1)。また、アムール川流域や沿海州までのロシア領で繁殖するとされている。一方、出水で越冬中のナベヅルに発信機を着け、衛星追跡した研究によると、アムール川下流域北岸に達しており、そこが繁殖地と推定された。別の研究ではロシア モンゴル東端国境付近の Daursky 自然保護区でも換羽中のナベヅルを捕獲しており、近隣に営巣地があると考えられる。また、中国 黒龍江省 小興安嶺でも繁殖が発見されている。ナベヅルは湿地で繁殖すると考えられるが、繁殖地の最近の状況はあまり明らかにされていない。


越冬

ナベヅルの越冬地は日本、韓国、中国である。日本では鹿児島県出水(いずみ)市で毎年越冬する。出水では古くから保護されており、越冬数も1936年から第二次大戦で中断はあるものの、毎年調査されている。近年増加傾向にあり、最近では14,000羽から15,000羽である。すなわち、全世界に生息する個体のほとんどが出水で越冬するという状態である。一方、中国では鄱陽湖など揚子江中流域で越冬するが、中国での越冬数は1,000羽前後と推定される。鹿児島県出水市ではナベヅルと同時にマナヅル (G. vipio) が1,300羽ほど、出水以外では山口県周南市八代(やしろ)で以前からナベヅルが越冬しているが、最近はごく少数の個体しか見られない。その他、西日本各地に飛来し、時には越冬する。地域によっては越冬誘致を試みている。


鳥インフルエンザの影響と越冬地の分散

2021年12月 イスラエルではクロヅルが鳥インフルエンザによって、大量死している。死亡したのは5,000羽とされている。日本でも出水でインフルエンザによる死亡例があり、2014年から2017年に少数羽が死亡している。これらの冬の場合には1万羽以上いるナベツルのうち被害はごく一部にとどまったようである。しかし、今後の鳥インフルエンザによる影響は予測できない部分があり、大量死が将来起きる可能性は払拭できない。大量死の危険を分散させるためにも、日本でのナベヅル越冬地の分散は喫緊の課題であろう。


三重県での記録

橋本太郎は彼の著書にナベヅルを全く記載していないので、三重県に古くからナベヅルが飛来していたわけではなさそうである。1990年代にはいくつかのナベヅル記録があるとされているが、現時点では確認できない。確実な越冬記録は、2011年11月から松阪市付近で2羽が越冬した。また2020年12月から津市・松阪市の沿海部で4羽が越冬した。2021年11月中旬から2022年3月まで、伊勢、松阪に48羽が飛来し、越冬した。ねぐらは伊勢市内、主な採餌場所は松阪市であった。この48羽は一羽も脱落することなく、3月中旬に繁殖地へ向けて旅立った。この秋の飛来が期待される。三重が恒常的な越冬地になる可能性が浮上している。

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