Long-billed Dowitcher

(Limnodromus scolopaceus)

ohashishigi

オオハシシギは海岸に近い淡水のあるいは汽水の湿地で越冬するシギであり、開けた干潟や海岸で見ることはほとんどない。集団にはならず、単独あるいは数羽で観察されることが多い。近縁のシベリアオオハシシギとの識別は足の色などで識別できるが、注意を要する。日本ではオオハシシギの方がはるかに多い。


分布

オオハシシギはアラスカ、カナダ北西部、およびシベリア東部で繁殖し、主として北アメリカ大陸で越冬する渡り鳥である。ヨーロッパには迷行することもある。アジアでは日本で毎年少数が越冬する。


オオハシシギの状況

環境省モニタリング1000シギ・チドリ調査で記録される個体数はごく少なく、冬季の各地の最大数を合計しても100羽程度である。また、記録されている越冬場所も限られており、多くても10か所程度である。しかし、これまで、この越冬個体数の少なさについては何も問題にされていなかった。環境省のレッドリストでも絶滅危惧種には挙げられていない。

オーストラリアの研究グループが発表している東アジア―オーストラリア地域シギ・チドリ類飛行ルート(East Asia Australasian Flyway)の推定個体数のリストには種名すら掲載されていない。これはオーストラリアでこれまで、記録がなかったことにも起因するのであろう。また、全世界の推定個体数は多いがこれはアメリカ大陸を渡る個体数をもとにしているためである。IUCNのリストでもLCとされ、絶滅危惧種にはなっていない。しかし、シギ・チドリ類は飛行ルートごとの生息数を基準に保護を考慮すべきである。その立場に立てば、この飛行ルートに生息するオオハシシギは生息数が少なく保護の対象として重要と考えざるを得ない。

しかし、上記のようなこのシギの越冬地は各地で埋め立てられたり、周囲の葦や草が取り除かれ護岸されたりして越冬できる環境は近年大幅に減っていると考えられる。また、最近のソーラーパネル設置による影響もあると推定される。早急にこの鳥の越冬実態を明らかにし、越冬地を保護すべきである。三重県では五主海岸以外に1か所越冬地が知られていたが、近年は飛来しないという。

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